PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


一日じゅう、ぼんやりしながら過ごしてしまった。


悲惨なことに、噂を耳に入れた先生もいらっしゃった。



「安豊寺、悩みがあるなら相談しなさい。グレるんじゃないぞ」



真剣にそう言われた。



放課後、軽音部室に直行したい気持ちを抑えて図書室に行った。


最終下校時刻ギリギリまで勉強する。


集中できなかったけれど。



時間になって荷物をまとめて、カバンに付けた三日月のアミュレットに触れる。



三日月はクレセントだ。ムーンではない。


煥先輩は、わたしをブルームーンだと勘違いしていた。


わたしを信じ続けてくれたのは、そのためもあったかもしれない。


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