PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
帰りは、送ってもらうことになった。
煥先輩と文徳先輩が来てくれる。
文徳先輩が部室の鍵を職員室に返す間、わたしと煥先輩は生徒玄関で待っていた。
二人きりの沈黙は重い。
わたしは煥先輩の横顔を見上げた。
鼻筋のライン。まつげの長さ。薄い唇の形。
何度見てもキレイだ。
「言いたいことでもあるのか?」
凛と響く声が、ささやくトーンで訊いた。
金色にきらめく目は正面を向いたままだ。
わたしは空を見上げる。十三夜の月がある。
「煥先輩に、一つ、答えてほしいことがあります」
「何だ?」
「ブルームーンは、特別な存在だったんですね?」
「あのメールのことか?」
「はい」