PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「これは、さすがに……」
瑪都流《バァトル》の歌を聴くたびに、煥《あきら》先輩を好きになっていく。
十六日の夜、玉宮駅前でのストリートライヴ。
嫦娥《じょうが》公園のそばに小夜子はいない。
晴れた夜空に月が懸かっている。
わたしはもう、月に願いを掛けたりしない。
月聖珠のチカラは地上から解放された。
願っても、聞いてくれる存在はいない。
願いは自分で叶えなきゃいけない、とも思う。
煥先輩の心は、力ずくでは縛れない。