PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
青い月、と煥先輩が透き通った叫びをあげる。
訪れない明日の夕方には歌えなかったフレーズだ。
あのとき声が止まった理由は結局、何だったんだろう?
ブルームーンがわたしじゃないと知って、だから、わたしの前で歌えなくなった?
王子さまが愛したのは、海で命を救ってくれた人。
王子さまが目覚めたときにそばにいた相手は、本当は命の恩人ではなかった。
真実にたどり着いたら、王子さまはきっと人魚姫を愛したでしょう。
わたしは偽物の命の恩人。運よく王子さまの隣に立てただけ。
そのままハッピーエンドならラッキーだったのに。
そんなふうに、ずるいことばかり考えてしまう。
煥先輩のブルームーンになりたい。今度こそ、わたしが。