PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
曲の合間の休憩のときだった。
いつの間にか、足音のない気配がわたしのそばに立っていた。
「海牙さん!」
「こんばんは」
海牙さんは、詰襟の内側からペンダントをのぞかせた。
黒く輝くペンダントトップ。玄獣珠だ。
「長江先輩は?」
「向こうのほうでガールハント中です」
「え」
「そんなに引かなくてもいいでしょう?」
「引きます」
「彼は普通にモテますよ」
長江先輩の容姿がカッコいいのは認めるけれど、あのノリの軽さはどうなんだろう?
カッコいいといえば、海牙さんもだ。
細身の長身で、動きが洗練されていて、モデルみたい。
大都高校の制服は地味なのに、海牙さんが着るとシックな感じに見える。