PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「今日、平井さんは一緒じゃないんですか?」
わたしの質問に、海牙さんが微妙な顔をした。
「平井さんは、お子さんの件で、ちょっと……」
「えっ、お子さん? そっか、平井さんって、お子さんいたんだ」
「いたというか、いることになってたというか……」
「何ですか、それ?」
「ぼくも昨日の朝、急に知らされたんですよ」
海牙さんは平井さんの家に下宿している。
なのに、知らなかった?
わたしが首をかしげたら、海牙さんは先回りして説明した。
「平井さんは、いくつか邸宅をお持ちなんです。ぼくはそのうちの一つに下宿させてもらってるんですが、
この春から、お子さんもぼくと同じ邸宅に住むそうで……そういうことになってるみたいで」