PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


「今日、平井さんは一緒じゃないんですか?」



わたしの質問に、海牙さんが微妙な顔をした。



「平井さんは、お子さんの件で、ちょっと……」


「えっ、お子さん? そっか、平井さんって、お子さんいたんだ」


「いたというか、いることになってたというか……」


「何ですか、それ?」


「ぼくも昨日の朝、急に知らされたんですよ」



海牙さんは平井さんの家に下宿している。


なのに、知らなかった?


わたしが首をかしげたら、海牙さんは先回りして説明した。



「平井さんは、いくつか邸宅をお持ちなんです。ぼくはそのうちの一つに下宿させてもらってるんですが、

この春から、お子さんもぼくと同じ邸宅に住むそうで……そういうことになってるみたいで」


< 516 / 555 >

この作品をシェア

pagetop