PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「長江先輩のところにも電話があったんですね。平井さんのチカラでこの一枝にさよ子の存在を割り込ませた、ってことですよね?」
「たぶんね」
わたしたちだけが知るさよ子の来歴を、書き換えられたこの一枝の上では、さよ子自身も知らない。
そういうことなんだと思う。
「鈴蘭~っ!」
追い掛けてきたさよ子に抱き付かれた。
煥先輩がさり気なく、可能な限り遠くに離れた。
わたしはさよ子の頭を撫でた。
さよ子の耳に口を寄せて、内緒話をする。
「あのね、さよ子。すぐバレると思うから言っておくけど、わたしも煥先輩のこと好きなの」