PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
煥先輩がキョトンとした。
「オレ? どうして?」
「どうしてって、あのね~、あっきー。きみ、モテるよね?」
「そんなわけあるかよ」
「あるよ! ファンだっていっぱいいるし、それ以上に本気な子も、何人も知ってるよ」
「嘘だ」
煥先輩はかたくなな顔で横を向いた。
頑固。鈍感。無自覚。残酷。
文徳先輩が頬を掻いた。
「煥の詞を見てもらったらわかるけど、こういうのが、煥のノーマルモードだから」
自分が好かれるはずない、自分に価値なんかない、と刻み付けるように強く信じている。
その痛々しさを正直に歌う詞はわたしも好きだけれど。
わたしはこぶしを固めた。
「わからせてあげますから、ちゃんと! 煥先輩がどんなにステキな人なのか、煥先輩自身に、わからせてあげます!」