PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


一人きりの帰り道だ。


左手にカバンを提げて、右手でツルギを抱きしめて、そろそろと歩いていく。



真っ暗とはいえない。街灯はある。


でも、住宅地にはひとけが少ない。


中学時代よりも通学距離が伸びたし、下校時刻も遅くなった。


寧々ちゃんたちと帰るときには何とも思わないけれど、一人だと心細くなる。



唐突に、背筋が冷たくなった。


気が付いたんだ。


足音が聞こえる。


ひたひたと、ついて来る。



勘違い? 自分の足音が反響しているだけ? 


違う。歩幅のリズムが違う。



帰る方角が同じの誰かが後ろのいるの?


でも、何かが不気味だ。


ただの勘だけれど、わたしの悪い予感はよく当たる。


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