PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


わたしはしゃがんで、師央のサラサラの栗色の髪を撫でた。


師央も、今日はちゃんと正装している。蝶ネクタイの燕尾服。


小さな紳士は、みんなに大人気だった。


師央も笑顔を保ってくれて、結婚式から披露宴まで長い時間、いい子だった。



遠くから、おしゃべりの声が聞こえる。


文徳《ふみのり》先輩と亜美先輩を祝う声。


高校時代の仲間とお酒を飲んで、みんな楽しそうだった。


それぞれの道に進んでも、あまり変わってなかった。



「案外、そのままだったな」


「わたしも今、同じことを考えてた。煥さんがいちばん変わったかもね」


「そうか?」



ほら、否定しないのが変わった証拠。


昔は「そんなわけあるかよ」だったでしょ?


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