PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
庭の大きな木に、リスが姿を現した。
師央が珍しがって、リスに駆け寄る。
わたしは立ち上がって、師央の後ろ姿を見つめた。
煥さんが、緩めていたネクタイを締め直した。
「兄貴、幸せそうだったな。柄にもなく緊張したらしくて、動きが固かったが」
「亜美先輩はすごくキレイだったね。でも、明日には髪を切るって。長い髪も似合うのに、もったいない。
あ、ブーケのデザインがかわいかったの。寧々ちゃんがキャッチしたんだよね。写真、撮らせてもらっちゃった。それにね……」
わたしは言葉を呑み込んだ。
言いすぎてしまいそう。
うらやましいって気持ちは、胸の奥に隠したい。