PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


事情が事情だったから、わたしたちは式を挙げていない。


わたしが大学に上がってすぐのころ、わたしの妊娠がわかった。


というよりも、それはわたしの作戦どおりだった。



高校時代を通してずっと、わたしは母とケンカしてばかりだった。


母が煥さんのことを認めてくれなかったんだ。



煥さんは何を言われても我慢していたけれど、わたしは堪忍袋の緒が切れてしまった。


そういうわけで、既成事実を作ってしまった。



三年前の自分は若かったな、と思う。


母を出し抜くために、煥さんまで出し抜いて、わざと避妊に失敗して妊娠したんだから。


真っ青になった煥さんの顔、忘れられない。


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