PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「鈴蘭はこれ以上、親を傷付けるなよ。何でそう意地張ってんだ? 家族のこと、大事に思ってんだろ? でなきゃ、子どもを作ろうって発想にはならねぇはずだ。
オレは親がいねぇから、いきなり自分が親になるなんて怖い。でも、おまえはそれを望むんだな?」
不良呼ばわりの煥さんは、本当はわたしよりずっとまじめだった。
「既成事実があれば、母も認めざるをえない」なんていう浅はかなレベルじゃなくて、子どもを作ることは家族を作ることだって、しっかり考えてくれていた。
当時十九歳の煥さんには、すでに収入があった。
スタント俳優として売れ始めていたんだ。
煥さんは、婚姻届を迷いもなく書いてくれた。
わたしは休学して出産、子育て。
今年度から復学して、教育学を勉強中だ。
師央は、わたしのわがままから生まれた命なのに、素直な子に育ってくれている。