PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
角を曲がる。
この先は細い路地が百メートルくらい続いて、街灯の数が少ない。
わたしは思わず走り出した。
足音が路地に響く。
二十歩も進めなかった。
路地の先に光がともった。
光の中に、赤い服の人が立ちはだかる。
その人がこっちを向いてニヤニヤした。
表情がわかる距離だった。
小さな駐車場に赤い大型バイクが停められている。
光はバイクのヘッドライトだ。
その人の赤い服にギョッとした。
特攻服だ。
寧々ちゃんの言葉が頭をよぎる。
「隣町の不良グループは緋炎《ひえん》っていうの。昭和の暴走族気取りで、幹部は真っ赤な特攻服なんだよ。
バカをこじらせたヤバいやつばっかで、マジで話が通じないんだ。赤い特攻服を見たらとにかく逃げて」