PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


こういう人間って言い方、相変わらずなんだから。


夫になって、父親になって、仕事もしている。


でも、煥さんが心のままに書く唄は今でも、少年っぽくひねくれている。



「わたしは不満なんてないよ」


「本当か?」


「うん、本当」



少しだけ、嘘。


ステキな結婚式を見た後だから。


神聖な教会や純白の衣装には憧れる。


色とりどりの花と祝福がうらやましかった。



「不満はない、か。じゃあ、オレの身勝手に付き合ってくれ」


「え?」



煥さんは師央を下ろした。


わたしの前にひざまずいて、右手を差し出す。



「ウェディングドレスを着てもらいたい。鈴蘭、どうか、オレのために」


< 551 / 555 >

この作品をシェア

pagetop