PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
こういう人間って言い方、相変わらずなんだから。
夫になって、父親になって、仕事もしている。
でも、煥さんが心のままに書く唄は今でも、少年っぽくひねくれている。
「わたしは不満なんてないよ」
「本当か?」
「うん、本当」
少しだけ、嘘。
ステキな結婚式を見た後だから。
神聖な教会や純白の衣装には憧れる。
色とりどりの花と祝福がうらやましかった。
「不満はない、か。じゃあ、オレの身勝手に付き合ってくれ」
「え?」
煥さんは師央を下ろした。
わたしの前にひざまずいて、右手を差し出す。
「ウェディングドレスを着てもらいたい。鈴蘭、どうか、オレのために」