PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


特攻服の人が口を開いた。



「カノジョ、何か急ぎの用事? なあ、おれらと遊ばねえ?」



猫撫で声にゾッとする。


わたしは後ずさった。



背後で騒々しい足音がした。


振り返ると、ダラッとした学ランのシルエット。あの制服、隣町の公立高校だ。



赤い特攻服が言った。



「カノジョ、訊きてぇんだが。朝、伊呂波《いろは》文徳と話してただろ?」



この人、何? 文徳先輩のことを狙っているの?


赤い特攻服が、耳障りな声で笑う。



「そんなににらむなって。カノジョ、かわいい顔してんじゃん? な、ちょっと来いよ。生徒会長サマより、おれと一緒のほうが楽しいぜ」



気持ち悪い。


怖くて、それ以上に気持ち悪い。


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