PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
赤い特攻服のニヤニヤ笑いに、いやらしい感情が透けて見える。
「こ、来ないで……」
叫んだつもりだった。
のどに力が入らない。
気持ち悪い、と思った。
怖いじゃなくて、気持ち悪い。
赤い特攻服のニヤニヤ笑い。
らんらんと光る目。
いやらしい感情が、顔いっぱいに透けて見える。
「こ、来ないで……!」
叫んだつもりだった。
のどに力が入らない。
震えた声は頼りなくて。
赤い特攻服のニヤニヤが、さらにギラつく。
わたしのほうへやって来る。
背後の学ランも、ずんずん近寄ってくる。
大声を出せば、誰かに聞こえるかも?
でも、どうやって大声を?