PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


赤い特攻服のニヤニヤ笑いに、いやらしい感情が透けて見える。



「こ、来ないで……」



叫んだつもりだった。


のどに力が入らない。



気持ち悪い、と思った。


怖いじゃなくて、気持ち悪い。



赤い特攻服のニヤニヤ笑い。


らんらんと光る目。


いやらしい感情が、顔いっぱいに透けて見える。



「こ、来ないで……!」



叫んだつもりだった。


のどに力が入らない。


震えた声は頼りなくて。



赤い特攻服のニヤニヤが、さらにギラつく。


わたしのほうへやって来る。


背後の学ランも、ずんずん近寄ってくる。



大声を出せば、誰かに聞こえるかも?


でも、どうやって大声を?


< 57 / 555 >

この作品をシェア

pagetop