PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
生理的な嫌悪感、恥ずかしさ、怒り。
ごちゃ混ぜに沸騰する感情に、吐き気がする。
なのに。
こんなに感情は暴れているのに、体が動かない。
赤い特攻服が鼻息を荒くした。
わたしはコンクリートの塀に押し付けられる。
頭も背中も打った。痛くて涙が出る。
ポーチをつかんだ右手が、胸の前から引き剥《は》がされた。
カッターシャツのボタンが千切られた。
素肌に夜の空気が触れる。
おかしい。
こんなの、おかしい。
わたしの体に触れていい人は、こいつじゃない。
わたしが全部を差し出したい相手は、こいつじゃない。
こんなの絶対におかしいッ!