PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


動揺が恐慌に変わり、悲鳴と怒号が飛んでくる。


わたしへと飛んでくるのだ。



手にしたツルギが脈打った。


足りないと言っている。


願いを実現するための「代償」が足りない。



そう、物語を始めるにはエネルギーが必要だ。



願ったのは、わたし。


確かに、わたしは言った。「何でも差し出すから」と。



銀色に輝くツルギに血がしたたる。


ツルギはひとりでに持ち上がる。



さあ、次なる代償を。



薄々わかっていた。


こうなるのではないかと気付いていた。



なぜなら、わたしは知っているから。


宝珠が、すなわちツルギが、代償として何を求めるか。


この世において最も重い価値を持つ代償とは何か。



運命の一枝《ひとえだ》を書き換える。


それを願ってしまったとき、流血のウェディングが幕を上げた。


宝珠が求めた代償は、命だ。


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