PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
赤い特攻服がツルギの存在に気付いた。
身構えようとするよりも早く、わたしの右手が動いた。
青い刃の切っ先が、赤い特攻服の胸に吸い込まれた。
ズプリ。
硬くて柔らかい肉体に刃が沈み込む。
心臓の震えさえ、ツルギ越しに伝わってくる。
わたしが、人を、刺した。
吐き気がするほどの拒否反応。
命が消える手応えを知ってしまった。
青獣珠もまた同じ。
直視できない光を放ちながら絶叫する。
そして。
光景も音も夜気も汗の匂いも、わたしの動悸も青獣珠の悲鳴も、何もかもが消えた。