PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
わたしはハッとした。
目覚まし時計が騒いでいる。
「ここは……わたしの部屋。さっきのは夢……じゃ、ない……?」
走った後のように鼓動が速い。
全身に汗。鳥肌が立っている。
わたしは自分自身を抱きしめた。
夢のはずがない。
さわられた感覚がまだ肌に残っている。
吐き気がするほど気持ち悪かった。
そして、右手にもなまなましい感触が残っている。人を差した感触が。
心臓が止まる瞬間をダイレクトに感じた。
でも、ここはあの路地じゃない。
わたしの部屋だ。
目覚まし時計が朝を告げている。
カーテンの隙間から光が漏れている。
あれから一晩明けたの?