PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


記憶が途切れている。


路地で赤い特攻服の男を刺した瞬間に何もかもが消えて、そしてどうなったのか。



「そうだ、日付! ケータイ!」



記憶が飛んでいるなら、今日は四月十六日以降だ。


それに、わたしが殺人を犯したならニュースになっているはず。


どっちにしても、ケータイですぐにわかる。



わたしは、騒ぎっぱなしの目覚まし時計に触れた。


レトロなアラームが黙り込む。


ベッドから起き出して、勉強机の上の三日月ストラップのケータイを、カパッと開く。



四月十五日、午前六時四十分。


新着メールが一通。


送信者は、寧々ちゃん。



「四月、十五日?」



昨日の日付だ。


< 64 / 555 >

この作品をシェア

pagetop