PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
〈お嬢おはよー! いつものとこでOK!?〉
頬の赤い黒熊のイラストが目に飛び込んできた。
ガツンと頭を殴られたような、驚きというよりも衝撃。
寧々ちゃんのメールはいつも似たような文面だけれど、デコメのキャラクターまで同じことはない。
十五日のデコメは頬の赤い黒熊、十四日は梨の妖精、その前はコアラの球団マスコットだった。
わたしは呆然としながら返信する。
〈おはよう。寝坊しないで起きたよ。また後でいつもの場所で〉
三日月ストラップが揺れた。
クローゼットの前の制服の下に、青獣珠がある。
ツルギの柄の姿をしている。
部屋のドアがノックされた。
メイドさんの声がする。
「鈴蘭お嬢さま? お目覚めでしょうか?」