PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
尾張くんは早速おにぎりをパクついて、寧々ちゃんに頭をはたかれる。
いつもと同じ、じゃれ合うケンカ。
順一先輩は一緒じゃなくて、わたしと寧々ちゃんと尾張くんの三人だ。
話をしながら、学校へ向かう。
それぞれのクラスのこと。
瑪都流《バァトル》という暴走族のこと。
隣町の不良グループの話で、体が震えて脚がすくんだ。
わたしは人を殺したかもしれない。
でも、まだニュースになっていない。
「お嬢、どしたの? 具合悪い?」
「な、何でもない」
不思議そうな寧々ちゃんと尾張くんに、無理やり笑ってみせる。
背中を冷や汗が伝った。
行こうと言われて、うなずいて、止まっていた脚を動かす。