PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
ごめんなさいね。
だけど、動き出した願いはもう止められないのよ。
ツルギがきらめく。
「預かり手」であるわたしの細腕を、やすやすと導いて。
さあ、願いに必要なだけの代償を、早くツルギに、宝珠に与えよ。
しからば、汝のかくる所の願い、必ずや叶えられん。
「やめろ!」
しなやかで尖ったあの声が言った。
黒髪をひるがえして振り返れば、彼がいる。
彼はツルギの前に両腕を広げて立った。
銀色の髪、金色のまなざし。
誰よりもいとしい人が、わたしをまっすぐに見つめている。
「お願い、そこをどいてください。この一枝は、きっと正しくない。より幸福な未来がほかにある。
だから、一度リセットさせて。必ず、わたしが幸せな未来を創るから」
彼の背後で幼子が泣き出した。
その子がいる限り、彼はツルギの前をどかない。
ああ、なんて残酷な未来。