PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
わたしは声の主を見た。
銀色の髪、金色の瞳。端正な顔が、眉をひそめている。
煥《あきら》先輩が近付いてきたことに、わたしは目を見張った。
記憶と違う。
記憶の中の煥先輩は、文徳先輩を置いて学校へ向かった。
「どうして、煥先輩だけ……」
煥先輩はわたしの腕を取って、文徳先輩たちから引き離した。
金色の目が、近い距離からわたしを見下ろす。
「あんた、緋炎《ひえん》の狂犬を刺しただろ?」
「えっ」
「違う。刺したじゃない。これから刺すんだ。十五日の夕方、路地の駐車場のそばで」
「どうして、そんな……」
「凶器は、ただのナイフじゃない。青い宝珠のツルギ、青獣珠だろ?」