PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
わたしは声が出ない。
驚きすぎて、恐ろしくて。
どうして知っているの?
どこで見ていたの?
あなたは何者?
矢継ぎ早の質問が頭の中に湧き起こる。
けれど、舌が動かない。
冷たいくらい整った煥先輩の顔に視線を留め付けられたまま、わたしは声や呼吸まで固まっている。
煥先輩は、自分のブレザーの内側に手を入れた。
ボタンを留めないブレザーの内ポケットから取り出されたものに、驚きが重なった。
白銀色の金属。刃のないツルギの柄。
幾何学模様が刻まれた鍔《つば》。
柄頭に、純白に澄んだ宝珠がきらめいている。
煥先輩がささやいた。
「オレも同じだ」