Heaven~第一章~
店が終わり一階にある美容院に行く。

「お疲れ様です」

周りの女の子からの返事はない。
まぁ、いつものことだけど、今日はちょっと様子がおかしい。

チラチラと感じる女の子達の視線。
ソワソワしているスタッフの態度。

だからと言って誰かに聞けるほど、ここで親しくしている人は居ない。
だからと言って態度を変える訳には行かない。

「お先です」

軽く頭を下げ外に出てため息。

そして「よっ、椿」名前を呼ばれてまたため息。

店の前にはあの黒塗りの車。
そして、助手席からはニヤニヤ笑いながら幸二が手招きをしていた。

「何?」

車に近づき幸二に視線を合わせると

「何?じゃねーよ。真澄君、店に来たろ?」

「あぁ、来たけど」

「来たけどって何も言ってなかったのかよ」

「何もって、店に居るか確認に来たって」

「は?それだけ」

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