Heaven~第一章~
「そうだけど……」

「肝心なこと言わねーで」

幸二は眉間にシワを寄せチッと舌打ちをして「まぁ、良いや。とりあえず乗れ」と後部座席を顎で指した。

「良くないし、乗らないよ」

「乗らないってよ」

後部座席には誰かが居るらしく、幸二は後部座席へと話しかけた。
後部座席の窓が開き自然と私も開いた窓に視線を向けた。

「乗らなくても良いが、店の前にこの車が止まってたらお前が迷惑なんじゃねーの?」

「そう思うなら帰ってよ」

「無理だな」

「こっちが無理だっつーの!」

「送るから乗れ」

「送ってもらうから無理」

「分かった。じゃあ、そいつには俺が話をつける」

は?は?
増子さんとコイツが話して穏便に行くはずじゃないじゃん。
何考えてんの!

「獅朗君は言ったら聞かなねーよ」

幸二はゲラゲラ笑いながら私を見ていた。

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