Heaven~第一章~
「った」

グイッと顎をつかまれ無理矢理視線を合わせてくる。

「獅朗だ」

「は?何?知ってるよ」

「呼べ」

「何を?ってか、あんた主語が抜けてて言いたいことが分からないんだけど……」

「ヤキモチだよ」

助手席から幸二が笑いながら答えた。

「は?」

「椿が桐谷を学って呼ぶのに、獅朗君のことはあんたなんて呼ぶから」

「は?」

もう呆れては?しか出てこない。
バカにしてるのかと思えば、獅朗は真っすぐ私を見つめている。
獅朗の瞳に私が見えるくらい近い距離。

「痛いな。離して」

だからと言ってバカらしくて、いちいち答えてられない。


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