Heaven～第一章～

｢あんたさ、ジュンナの客取ったのと同じだからね。川上さんはジュンナにとってみたら太客なんだよ。あんただってわかるよね。太客掴むのがどれだけ大変か、逃がすとどれだけ痛いかって！｣

｢それは……分かってます｣

｢ジュンナに悪いと思ってんの？｣

｢はい｣

それは本当に悪いと思ってる。
数ヶ月だけど、女の子達が一人のお客さんを呼ぶのにどれだけ大変な思いをしているのかは分かっていた。

｢ジュンナ｣

リサさんに呼ばれジュンナさんは私の前に立った。
ジュンナさんの潤んだ瞳が私を写す。
ジュンナさんの口元が微かに動く。

"ごめんね"

私が読み取ってパーンと渇いた音が店内に響いた。

｢ジュンナ、顔はダメだよ。一応その子もキャストなんだから｣

リサさんの声が弾んでいる。

｢はい｣

ジュンナさんは返事をして私の背後に周り、ピンヒールで私の背中を蹴った。