Heaven~第一章~
学のおでこがコツンと私のザラつく左肩に触れた。

あっ、

無意識に私の体に力が入る。
学は少し顔を上げ、今度はその左肩に学の唇が触れた。
ほとんど感覚を感じないそこに柔らかい感触を感じて、胸の奥が熱くなって行く。

チュッ、チュッ
左側から聞こえる短いリップ音とシャワーが打ち付ける熱さに、私の体の熱も上がって行く。

「椿……」

学が私を呼ぶ切ない声に眩暈がしそうになる。

ギュッとまた強く私を抱きしめると「ごめん」とそこに私を一人にして学は出て行った。

腰が抜けたようにその場にしゃがみ込み涙が溢れ出した。
うっ、うっ、と喉をついて出る声もシャワーの音に掻き消され、
溢れる涙もシャワーのお湯で流されて行く。

学の触れていた左肩に触れた。
そこはザラついて気持ちが悪い。

シャワーを止めガラス越しにそこに視線を向けた。
久しぶりに見たそこを見つめた。

10年前よりはましにはなっているけど、一生消えることはない。

ギュッと瞳を閉じ覚悟を決めて学の待つリビングへと向かった。

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