Heaven~第一章~
真っ暗闇の部屋。
紅尾金龍が優雅に泳いでいる水槽の明かりだけが、学の居場所を教えてくれた。

「学……」

俯くようにソファーに座っている学に声をかけた。

「あぁ、」

視線を合わせず学が答えた。

「あっ、うん……今日は、ごめん……ね」

「あぁ、」

覚悟を決めたけど、何から話せば良いか分からない。
それより、学が望んでいるのかも分からない。

「椿、」

名前を呼ばれ体にまた力が入る。

「ん?」

「背中……冷やすか?」

「あっ、大丈夫……」

「そっか、」

学は立ち上がり私に近づいてくる。

「もう、聞かねーよ。その代わり店は辞めろ」

「辞めろって、学が紹介してくれたお店じゃん」

「だから、俺が断りの連絡入れれば問題ねーだろう」

「……」

「分かったらもう寝ろ」

ポンっと私の頭に触れまたソファーに座った。


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