Heaven~第一章~
前に来た時に入れてもらえなかったドア。
聞いても答えてはくれなかったドア。

「彼女だから、後から行くから先に通しておいてって」

「私を?」

「そっ、あそこな関係者じゃないと入れない。関係って意味分かるよね?」

多分……
この男が言う関係者は堕天使のメンバーのことだろう。
学に視線を向けてもまだ知り合いと笑っている。

「どうする?」

カウンターに肘をつき私に微笑みかける。

「……行く」

「じゃあ、行こう」

私の腕を男が掴みドアに手をかけた。
ギィっと小さな音がその重さを感じさせた。

店とは対照的にヒンヤリとしていた。
コンクリートの壁に、コンクリートの床。

男はグイグイ私の腕を引き先に歩く。

遠ざかる入り口に不安が過ぎる。

「どこまで行くの?やっぱり、学のとこに戻る」

足を止めると「いまさらっしょ」と男が振り返る。

腹部に強い痛みを感じ……
最後に目にしたのは琥珀色の瞳が私を見下ろしている姿だった。


< 141 / 250 >

この作品をシェア

pagetop