Heaven~第一章~
でしょうね。
一般的には美形の部類なんだろう。
だから、キモいって言うのは別に顔のことじゃない。

笑っているのに笑っていない琥珀色の瞳。
ただ上がっているだけの口元。

表情がない。
能面を被っているようで気持ちが悪かった。

「やっぱり、桐谷や久辺がそばに居るから目が肥えてるんだね」

「さっきも学の名前使ったりして、あんた何なの!」

私の質問の意味なんて分かっているはずなのに「ん?」と首を傾げてとぼけている。

「……ムカつく」

思ったことを口にすると男はゲラゲラ笑って私をベットに押し倒した。
そして、私が抵抗しないように両腕を頭の所で押さえつけられた。

「気の強いのは嫌いじゃないけど、自分の状況はちゃんと考えてからモノを言わないとね」

真っすぐ私を見下ろす距離が近い。
琥珀色の瞳の中に私が見える。

男の右手は私の両腕を押さえ左手は……――


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