Heaven~第一章~
「てめぇー、」

「椿から離れろ!」

学と獅朗の怒鳴り声に心底嬉しそうな表情を浮かべ「ほらね。やっぱり……」と口元を緩ませ、

「動いたら椿姫がどうなるか分からないよ」

「何言ってんだよ」

「そこで見てろって言ってんの」

そう言うとポケットから折りたたみナイフを取り出し、
カチャンとナイフを組み立てわざとらしく二人にそれを見せた。

そして、私の頬に当て「楽しいでしょ」と私にしか聞こえないように呟き「もっと楽しくなるよ」と首筋に顔を沈めた。

その顔はすぐ上げられ私と視線を合わせる。
ニヤリと笑い一気に私の服を剥ぎ取るように破った。


「いや!!!」


外気に曝された肌。
無数にある古傷。
右肩にあるこの男の歯型。
左肩にある古い火傷の跡。

一気に込み上げる涙。

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