Heaven~第一章~
そっか……――
だから、この男の琥珀色の瞳が切なく感じたのはそう言うことだったんだ。

胸元にある古傷。
瞳をそらすことさえ出来ない。

男は伏せ目がちに私からどき、ベットの端に座った。




「なんか……萎えた」



そう言って脱いだ服を着て天井に視線を向けた。



「椿姫の話は本当だな」


私に向けた視線は光を失いまた何も映してはいなかった。

「ねぇ、」

「ん?」

「それ……」

私が向けた男の古傷。

「あぁ、」とその古傷を触り「愛の証」と口元を緩めた。


"愛の証"

何度も、何度も言われた言葉。
呪いの言葉。

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