Heaven~第一章~
「もうやめた!」

そう言って男は立ち上がり私のロープを解いて、毛布をかけてくれた。

「おい!」

学が男を真っすぐ見つめる。
男はその視線に答えるように口を開く。

「覚悟はあるの?」

「当たり前だ」

「そっか、久辺……椿姫は諦めた方が良いみたいだよ」

「……」

「まぁ、後は三人で仲良くやってよ」

そう言って右手をヒラヒラさせて部屋から出て行った。
それを確認して「椿!」と学がベットに駆け寄る。

「学……」

「大丈夫か?」

毛布から覗いてる肩を見つめ顔を歪めた。
慌てて毛布を肩までかけると「ロープほどけるか?」と背中を私に向けた。


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