Heaven~第一章~
あの琥珀色の男に連れて来られたのは、海沿いにある小さな雑居ビルだった。

「ごめんね」

学に支えられ歩く私。
学は何も言わず、私の頭を胸元に押し当てポンポンと頭を撫でた。

ポロッと零れた涙を学の優しい指先が拭ってくれる。

「怖かったのか?」

ちょっと意地悪な学の言葉。
私は首を振り「怖くはなかった、」と言うと

「大丈夫だ」

学が肩を強く抱いてくれた。
そしてビルの前に止めてある学のジープに乗ると「右肩、見せてみろ」と真っすぐ私を見つめる。
言われるまま歯型がついている右肩を学に見せた。

「歯型なんてつけやがって!何考えてんだあいつ……」

グイッと自分の方へ私を引き寄せるとその歯型の上をペロッと舐めた。

「え?何?」

「消毒」

学がニヤリと口角を上げて笑う。

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