Heaven~第一章~
「学、」

リビングに居る学に声をかけた。

「お、上がったのか」

「うん」

「じゃあ、俺も入るか」

「あ、傷」

さっき蹴られて出来た口元の傷。

「傷?」と学が私の視線の先の口元に手を当てた。

「こんなの傷のうちにはいらねーよ」

「ダメだよ。上がったらちゃんと手当しないと」

「大袈裟だな」

学は笑って「じゃあ、上がったら頼むよ」と私の髪に触れた。

学の傷を見て胸が痛んだ。 
それが自分のせいだと思うと尚更……――

学も私の古傷を見て胸が痛んだのだろうか……――

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