Heaven~第一章~
学はズボンだけ履きタオルを首からさげすぐに戻ってきた。

「髪乾かさないと風邪引くよ」

水を含んだ真っ赤な髪からポタポタとまだ水が落ちている。

「すぐ乾く」

そう言って首にぶら下げていたタオルでガシガシっと髪を拭いた。

呆れながら「座って」とソファーへ座るように促した。
学は私に言われたことに素直に従いソファーに座った。

切れている学の口元に消毒液を当てた。
痛みで顔を歪める学に「痛い?」と聞くと「少しな」と眉を歪めた。

傷の手当をしながら何度も何度も心の中で謝った。

 
"ごめんね"

"ごめんね"
 
「何で椿が泣くんだよ」

学が私の腕を掴む。

「……だって」

俯き手を止めた私の腰に学が腕を回し、自分の方へ引き寄せた。


< 168 / 250 >

この作品をシェア

pagetop