Heaven~第一章~
何度かのコールの後"もしもし"と声が聞こえた。
だけど、その声は獅朗の声じゃなかった。

「誰?」

私からかけたのに、おかしなことを聞く私に「は?お前こそ誰だよ」と警戒する声が聞こえた。

数えるくらいしかあってないのに、その口調で電話の相手が誰かはすぐ分かった。

「幸二?」

「は?誰だよ」

「……椿、何だけど」

「椿?椿ってあの椿?」

「どの椿かは分かんないけど、」

「何だよ。連絡なんて」

「この番号って獅朗のじゃないの?」

「これはチームの連絡用。獅朗君に用?」

「うん……まぁ、用って言うか、」

「何だよ。歯切れわりーな」

歯切れが悪いんじゃなくて、気まずいんだよ……

「獅朗居る?」

「獅朗君?何、椿知らねーの?」

「え?何?」

「知らねーのかよ。まぁ、良いや。獅朗君の番号教えてやるからかけてみろよ」

幸二はそう言って獅朗の番号を教えてくれた。

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