Heaven~第一章~
肩透かしをくらった気分。
微妙に緊張してたのに……

"知らねーの?"
知るはずないじゃん。
獅朗とはあの日から会ってないし。
元々、あの街で知り合っただけなんだし。

ハァー
またスマホを押した。
3回のコール音。

ノイズ音の中から獅朗の声が聞こえた。

「もしもし、椿なんだけど、」

「あぁ、」

「っと……こないだは、ありがとう」

「怪我は大丈夫か?」

「たいした怪我じゃないから……獅朗こそ大丈夫だった?」

「あんなの何でもねーよ」

「そっか、」

「わざわざそんなんで連絡して来たのか?」

「あ、うん。まぁ、」

「桐谷に言われたのか、」

そう言われて電話越しの車のクラクションと部屋の外からのクラクションがリンクした。


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