Heaven~第一章~
「此処どこ?」

見覚えのない場所。
私達が住んでいるあの街じゃない。

「さぁ、」

獅朗はバイクから降りるとん~と伸びをして「何時まで乗ってんだよ」と私を見て笑った。

「ちょっと待ってよ」

ヘルメットを脱いで慌ててバイクから降りた。

長い、長い坂道を登りきったとこにある駐車場。
小さなベンチが一つ。
そこから、どこかも分からない街が一望出来た。

「帰り大丈夫?」

「迷子になったら、桐谷にでも迎えに来てもらえよ」

嫌みの言葉を言って小さなベンチに座った。
長い足を付きだし空を見上げている。

「天気良いな」

そんな獅朗の横顔を見つめ、これが本当に"Heaven"の……あの街を仕切っている奴なのかと疑問に思ってしまう。

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