Heaven~第一章~
「じゃあ、教えろよ」

「……」

クルッと私を半回転させ私をジッと見つめる。




「椿の全部、教えろよ」




獅朗は学と違う。
見過ごしてなんてくれない。
真っすぐに自分の気持ちをぶつけてくる。

獅朗から瞳をそらすと「逃がさねー」と私の顔を両手で押さえる。


「好きだって言ったよな。本気なんだよ。いまさら、逃がさねーから」


その瞳に飲み込まれそうになる。
ギュッと瞳を閉じた時、プァプァと車のクラクションが聞こえた。

そしてその音にチッと舌打ちをして「時間切れかよ」と吐き捨てた。

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