Heaven~第一章~
ん?と首を傾げ学の寝室の前に立った。

もう何ヶ月も一緒に居るのに初めて見た学の寝室。
この部屋と同じ。
余計なものなんてない部屋。

群青色のカーテンに黒いベッドカバー。

「何?」

学は寝室のクローゼットを開け、クリーニングの袋が被る洋服を私に見せた。

「これ、椿のだろう?」

あっ、その制服……

それはあの街で、
学と出会ったあの街で何度も着ていた制服だった。

「どうしたの、これ……」

「どうしたのって、制服なんて捨てられないだろう」

「そうだけど……」

私は学から制服を受け取りマジマジと制服を見つめた。

良い思い出がないこの制服。
2度と袖を通すことはないと思っていた制服。

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