Heaven~第一章~
「……半年ぐらい」


そんな自分の言葉で忘れかけていた学との出会いが鮮明に思い出して行った。

学は半年前に私を救ってくれた恩人だった。


何もかも嫌になって家を飛び出し、私はあの街へ行った。
出来るだけ家から遠く、誰も知り合いの居ないあの街へ。

住む場所もない。
頼れる人も居ない。
不安だったけど、あの家に生きてるんだか死んでいるんだか分からない状態で居るより、数倍も良かった。

だけど、それは浅はかな考えだってことにすぐ気付いた。

途方に暮れている私にサラリーマン風の男が声をかけてきた。


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