Heaven~第一章~
カウンターの一番端に行くと「ちょっと待ってろ」と言ってカウンターの中に居る人を呼んだ。


「悪いけど、コイツ頼む」

「はい。桐谷さんの彼女っすか?」


そう言われチラッと私を見て「コイツに聞いて」と言ってから、カウンターの奥の方へ行ってしまった。


離れるなって言っておいて、置いて行くか普通。
だからって、来いと言われても困るけどさ。


カウンターを背中にお店の中を見渡した。


ここはあの街と同じだ。
あの街より小さな箱な分だけ、色んな奴の欲望の濃度が濃い。


「何か飲みます?」


さっき学と話していた店員が声をかけてきた。


「ウーロン茶で」

「アルコールは?」

「アルコールいらない」


アルコールに良い思い出がなかったせいか、アルコールは飲まなかった。
もちろん、バイトの時も上手くごまかしながらウーロン茶でしのいでいた。


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