Heaven~第一章~
学に連絡をして帰るか……
黙って帰るか……

結局はどちらもやめた。

一人で帰ってもやることもなかったし、それならまだこの箱の中で人の存在を感じていたかった。


「遅いですね」


私が退屈しているのが分かったのか店員が話しかけてくれた。



「桐谷さんが女連れなんて珍しいんですよ」


私の機嫌を取りたいのかそんなことを言うけど、学の彼女でもない私はそんなことを言われても「遊んでそうだけど」と適当に返した。


「まぁ、モテますけどね」

「……でしょうね」


これは嫌みでも何でもない、私の本音。


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