Heaven~第一章~
「じゃあ、帰りは増子さんに送ってもらえよ」

「了解」

「じゃあな」

学はお店に私を送ると来た道を引き返して行った。
学が何をしているのかは今もはっきりは分からなかった。

それでも気にはなるけど、検索する勇気はなかった。
聞けば学は嘘なく教えてくれるだろうけど、自分のことを聞かれて正直に言える自信がなかった。

学にはもう嘘はつきたくない。
だからちゃんと話せる時までは……

それまで一緒に居るかは分からないけど、
それでも待っていて欲しいと思うのは私の我が儘なのかもしれない。

ビルの一階にあるお店の美容院で髪をセットしてもらい、ドレスに着替え三階にあるお店に向かう。
私は何時も開店時間より遅い出勤だから、裏手のドアから直接事務所へ行く。

「おはようございます」

事務所に居る人達に挨拶をすると「椿~」と支配人が困った顔で私わや呼ぶ。

「どうしたんですか?」

「椿の知り合いが店に来てるんだけど」

「はい?知り合い、ですか」

近況を報告するような友達なんて居ない。
私がここでバイトをしてるのを知っているのは学くらい……


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